勝手に【我が家の隠れ庭】と呼んでいる宝筐院。青もみじと若葉の初夏。他に誰もいない庭を妻とニ人占め。本堂の開かれた障子の向こうには青もみじと若葉が静かに溢れかえる。しばらく畳に仰臥。ただ静寂の中でただ鳥のさえずりに耳を澄ます。
宝筐院
JR嵯峨嵐山駅から徒歩13分。広大な清涼寺の正門を右に通り過ぎ、回り込むように右折する角にさりげなく佇んでいる宝筐院。
名の通った名所ではないが、知る人ぞ知る紅葉の穴場。
すぐ近くには嵯峨豆腐の名店「森嘉」。ちなみにここの飛龍図(ひろうす)はおすすめ。いつもこの「森嘉」の店先で揚げたてを買って縁台で食べる。

青もみじと若葉の宝筐院
紅葉の季節とは庭への入り口も変わっている。入場料を払って「ここが入口?」という小さな潜り戸を抜ける。
そこは初夏の青もみじと若葉が溢れる別世界。中央には石の歩道。左右から勢いよく青もみじと若葉が歩道を覆う。木々の足元の地面は苔が覆っている

本堂
歩道を中央まで進むと右にこじんまりとした本堂が見える。靴を脱ぎ本堂に上がる。まずは正面の本尊:千住観音様にお参り。妻と私以外には誰もこない。
この本堂の楽しみは開かれた障子の向こうに見える庭の彩り。障子の白を格子に縁取る木の温かい茶色。矩形に切り取られた窓の向こうに青もみじと若葉の黄緑色が映える。

角の左右に開いた障子の向こうに見える青もみじは特に勢いよく黄緑色に燃えている。

去年の初秋にもここを訪れた。その時に障子の向こうに見たのは色づき始めた緑に淡い紅葉を混ぜた色とりどりの庭。
今日の初夏の宝筐院は黄緑色一色。

畳の上に寝転ぶ
誰も来ないことを良いことに畳の上に寝転ぶ。本当にただ静か。鳥のさえずりだけが聞こえる。

本堂の東の石庭の周りにはいろいろな色の若葉がその若さを競っている。

定点観察の愉しみ
季節を替えて同じ場所を同じアングルで切りとる。これにより季節の違いをより際立たせて知ることができる。定点観察の愉しみ。
次の秋には紅葉の真っ只中にこの宝筐院を再訪して同じアングルで真紅の庭と比較してみたい。ただ、今日の静けさを望むのは難しいかもしれない。
初夏の京都。他に観光客のいない隠れ庭で青もみじ狩り・若葉狩りに浸ってはいかが?
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