まず「解きたい問題の対象」を絞り込む。絞り込まないと結果、沢山の問題の沢山の原因を一挙に解決しなければならなくなる。絞り込むことで調査した情報が原因を明確に指し示し問題を解く事ができる
沢山のことを一挙に解決しようとしていないか?
「不良率の低減」「生産性の改善」「売上げアップ」こんな課題を与えられる。「よっしゃ!」と取り組むものの・・・なかなか成果が出ない。出ないはず。それは沢山の問題を一挙に解決しようとしているから。
2つ以上の問題に取り組むと途端に解決は難しくなる。これが3つ以上になるとまずその問題は解けない。
- 不良率の低減:不良は沢山のモードがある。全部のモードを減らすのか?どの不良を減らすのか?
- 生産性の向上:どの工程のどの装置の生産性を上げるのか?
- 売上げアップ:どの地区のどの商品の売上げを上げるのか?
このように「解くべき問題の対象」を絞らないと複数の問題の複数の原因を一挙に調べることになる。一つだけでも簡単ではないのに。。。
対象を絞り込んでいないから「原因」と「対策」が見えてこない
問題を絞り込む前に調査を始めても原因に繋がるヒントが見えてこない。調査した情報と原因の因果関係を見つける事ができない。原因がわからないと問題は解けない。
- 不良率の低減:低減する=不良の原因を突き止めること。しかし不良のモードを絞らずに調査をしても情報は原因につながっていかない。例えばある不良モードの実際の原因が3つある装置の内の1つの装置の不備だったとする。この不良モードだけを調べるとその因果関係は簡単に見える。しかし沢山の不良モードが混在する全体の不良率を調べて、装置の履歴と照合してもその因果関係はボヤけてデータの中に埋もれてしまう。
- 生産性の向上:全体の工程の中でも一番のネック工程やネック装置を改善しないと生産性は向上しない。ネック工程を見極めないで他の部分の生産性を改善しても全体の生産性は何も変わらない。
- 売上げアップ:商品や地域によって売上げが上がらない原因は異なる。それにも関わらず、一部の製品や一部の地域の調査をして原因を決めつけて対策を売っても、一番売上げを上げたい商品や地域の売上げ向上には寄与しない。
「問題を解く対象」を絞り込む
逆に対象を1つに絞り込むことで調査した情報が活き活きと原因を指し示してくれる。容易に原因を特定する事ができる。
- 不良率の低減:1つの不良モードに絞り込むことでその不良モードの原因の特定は容易になる。
- 生産性の向上:ネック工程やネック装置の生産性を改善することで全体の生産性は格段に向上する
- 売上げアップ:売上げを上げたい製品や地域に絞り込むことで原因を特定、大きく売上げを上げる
まとめ
問題を解く手順の2番目は「問題を解く対象を絞り込む」こと。問題は1つずつ解く。そうする事で問題は格段に解けやすくなる。
いくら天才でも2つの問題を一気に解くことは簡単ではない。まして3つ以上になると人の手には負えない。
TSMCの工程では通常の「WET洗浄」の代わりに「Dryクリーニング技術」を使って他の半導体メーカーが遥かに及ばない歩留りで半導体を製造しているというニュースを読んだ事がある。水で洗わないどんな特別な技術なんだろう?と興味を持ってこの記事を読んでみた。
すると何のことはない。工程内のパーティクルを多い順に一つのモードずつその成分を分析して発生源を調べその発生源を除去する。次に2番目に多いパーティクルのモードについて同じことをする。これを何年も続けて結果、他社の追随できない歩留でEUVというタイプの半導体を量産しているとのこと。
「問題を解く対象を絞り」問題をシンプルにして一つずつ丁寧にこれを解いていく。これが問題を解く一番目のコツ。
対象をシンプルにすることで調査した情報が原因を明確に指し示している事に気づいた時。その喜びは何事にも代え難い
Enjoy the problem !
① 仕事に行き詰まっていませんか?:仕事とは「問題を解く」こと ⭐️問題には解き方がある⭐️
②「問題の解き方」の全体像:有効な解決の流れ フレームワーク「8D・8Step・KT法」から
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