求められているのは【理由】ではなくて【共感】:黒川奈保子『妻のトリセツ』に学ぶ「どうして?」の質問の求めるもの

【座右の書ー他】

パートナーから「どうして!」と言われた時は要注意。特に男性脳の強い人は『それは○○○の事情で○○○となって』と【理由】の説明をしてしまう。しかしそれでは事態は好転しない。相手の求めているのは【理由】ではなくて【共感】。黒川奈保子さんの『妻のトリセツ』で学ぶことができる。

「どうして!」

会話の中でパートーナーから「どうして?!」と強めに訊かれることがある。そんな時は要注意。

つい我々は「どうして?」を言葉通りに「質問」と捉えてしまい、その事情に至った【理由】を説明してしまう。

しかし折角のこの【理由】の説明はいくら丁寧にやっても相手には届かない。逆にヒートアップさせてしまう事の方が多い。

こんな経験はないだろうか?

事例1:自分が原因ではない場合

  1. 家に帰るとパートナーの機嫌が悪い
  2. なんかあった?
  3. 今日さ、お店に行った時に嫌な思いをしたんだ!
  4. 何があったの?
  5. 店員さんの対応がめっちゃ無愛想だったんだよね
  6. そうなんだ!
  7. あそこの店は確かにいつも愛想悪いよね
  8. そうなんだよね!今日は特に酷かったんだ!
  9. どうして」いつもああなの?
  10. ***ちょっと強めの口調の「どうして」に少し動揺する***
  11. ***えっ?どうしてって言われても俺のせいじゃないしと悩む***
  12. ***でもどうしてって訊かれるし・・・ええと、と考える***
  13. 多分社員教育をちゃんとしていないのかもね⇦【理由】を推測できてホッとする
  14. そうなの?。。でも本当に気分悪いんだよね
  15. わかった!週末に俺が行ってクレームするよ! ⇦さらに解決策も示しているつもり
  16. ***これで一件落着・・と思っていると・・・
  17. なんであの店はいつもああなの?
  18. ***ええっ!【理由】も説明して解決策も示したのに質問が続くの?***
  19. 「どうしていつもそうなの?
  20. もうあのお店にはいきたくない!・・・と続く
  21. ***示した【理由】と【解決策】はどこに行ったの???と途方に暮れる

こんな会話に身に覚えのある人も多いのではないだろうか。実はこの会話では決定的に足りていないものがある。

【共感】

決定的に足りていないもの。それは【共感】というコミュニケーション。

「どうして!?」も「なんで!?」も決して【理由】の説明を求めている質問ではない。そうではなく伝えているのは【嫌な思いをしたんだよ!わかってよ!】という感情。

この会話の構図

このケースが厄介なのは、一見「質問」に「回答」して会話が噛み合っているように勝手に思い込んでしまうこと。しかし実はこの会話の構図は

  • 相手の求めているもの   自分が味わった特にネガティブな感情に対する【共感】
  • 自分の提示したものは   【理由】と【解決策】

根本的に会話が噛み合っていない。これでは相手は決して癒されない。どれだけ【理由】や【解決策】の説明を重ねても、そもそもそれを相手はそれを必要としていない。

ではどうすれば?

【共感】するコミュニケーションとは

  1. どうして」いつもああなの?
  2. そうかあ。。。大変だったんだね。
  3. 嫌な思いをしたんだね。
  4. あのお店はいつもそうだよね

これが求められている【共感】するコミュニケーション。特に大切な言葉は「嫌な思いをしたんだね」。これが必須。これだけで良いかもしれない。

納得できないかもしれないが・・

『いくら【共感】しても肝心の『無愛想な店員問題』は全然解決しないじゃないか?』とあなたは納得できないかもしれない。わかる!。特に男性脳の強い人はそう考えがち。私もその傾向が強い。

でも繰り返すがこの会話でパートーナーの求めているものは自分が味わった感情への【共感】というコミュニーションであって【理由】や【解決】ではない。

【解決】は後で一人でやれば良い。それよりも大切なことはその場の会話の中で相手の【感情】を受け取って【共感】すること。

事例2:自分が原因である場合

このネガティブな感情の原因が自分である場合はもっと注意が必要。

  1. 朝、出がけにレターパックをポストに入れて欲しいと頼まれるが、これを忘れて帰宅
  2. 今朝レターパック、出してくれた?
  3. あっ!、ごめん!出してない!
  4. ええと・・・けどまだ間に合うよね!明日朝、必ず出しとくね!
  5. ***自分はこれで一件落着のつもり***
  6. ***期限には間に合うのだから大丈夫と判断***
  7. 「どうして忘れるの!?」と少しだけヒートアップ
  8. えっ!としどろもどろになる
  9. ***冷静になって立て直しを図る***
  10. ***ええと。「どうして忘れたんだっけ?」と今朝を振り返る***
  11. ***明確な理由を思い出す***
  12. 今日は朝一番で会議があったんだ!その準備が終わっていない事を思い出して
  13. 急いで会社に行かないといけなかったんだよ
  14. だから途中でレターパックを出す時間がなかったんだ!
  15. ***自分の中ではロジカルで完璧な説明と判断***
  16. ***誰もが納得する理由だよね***
  17. だからどうして忘れるのよ!?と声はさらにヒートアップ・・・
  18. えっ!理由は丁寧に説明したよね?聞いていなかったの?と途方に暮れる・・・
  19. だから今朝は会議があって
  20. 【理由】の説明を繰り返せば繰り返すだけ相手はヒートアップしていく

この場合はどうする?

ここでももっと丁寧に加害者である自分が相手の感情を受け取って、まず謝罪。次に【共感】というコミュニケーションをとること。解決はいらない。謝罪は何度でも。【理由】の説明は最後。

  1. どうして忘れるの!?
  2. レターパック出せなくてごめんね
  3. 「私のお願いは忘れてしまうんだ」って思わせちゃった?
  4. 嫌な思いをさせちゃったね。
  5. ごめんね
  6. 実は。。。

多分、これで最初に示した【理由】と【解決策】の提示よりもかなり「マシ」。

『妻のトリセツ』

この【共感】するというコミュニケーションは黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』で学ぶことができる。著者と夫のやりとりの事例がたくさん示されている。

この本にはパートナーと生きて行くための叡智がたくさん詰まっている。パートナーのいる方はこの本を学ぶことが必須。そうでない方も、特に女性とのコミュニケーションの機会の多い方はこの本をできるだけ早いうちに読んでおくべき。

私の周りの若い人たちの結婚のお祝いには、いつもこの『妻のトリセツ』とついでに『夫のトリセツ』もセットにしてプレゼントしている。

男性脳のことも理解してもらわなければ・・・

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習慣化

この本を読んで学んでからパートナーとの関係は少しマシになった。いつもうまくわけではない。ともすれば【理由】+【解決策】パターンに戻ってします。でも途中で気がつくと致命的な状況に陥らない。

このような【共感】そのものを目的にしたコミュニケーションは特に男性脳の強い人にとって簡単ではない。でも少なくともこの違いを理解する必要性は確実にある。

できれば、この【共感】をベースにしたコミュニケーションを自分の習慣にまで落とし込みたい。これができれば、確実にパートナーとの関係は改善する。他への波及効果も大きい。この世界で生きていくために必須の叡智だと考えている。

男性、女性に限らずまず最初に相手の求めているものを理解すること。特に先に相手の感情を理解することは大切。これは『7つの習慣』の第5の習慣である【まず理解に徹し、そして理解してもらう】とも共鳴している。


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