多くの起業家がリクルートから輩出している。なぜリクルートなのか?気になって『起業の天才!江副浩正』を手に取って読んでみた。そこにはコーチングする江副浩正氏の姿があった。学んだのはコーチングにより【圧倒的当事者意識】を部下に持ってもらうリーダーシップの圧倒的な効果
起業家輩出企業の理由
よくリクルートは「起業家輩出企業」と呼ばれている。気になってその理由を調べてみた。
- 起業を推奨する風土
- 人を巻き込む事業の経験を積む機会を得られる
- 数字を追い求める経営の経験を積む機会を得られる
- 元々意識とレベルの高い人が集まる
- 【圧倒的当事者意識】を培う風土がある
などなど。いろいろな記事に多くの理由が説明されている。なるほど。。。
その中で最後の【圧倒的当事者意識】の言葉が気になった。なんとなく意味はわかるが・・・原点を知るべく大西康之氏の著作『起業の天才!江副浩正』を紐解いてみた。
『起業の天才!江副浩正』
『起業の天才!江副浩正』を1/5ほど読み進んだ第4章『「日本的経営」を叩き潰せ』の冒頭に探していた記述を見つけた。
- 江副氏自身は「カリスマ性」という資質に欠けていたこと
- そこで「強烈なカリスマ性によるリーダーシップ」に置き代われるものを探す
- 代わりに見つけたものは社員のモチベーション
モチベーションを喚起するエピソードとして、江副浩正氏と部下との会話が描かれる。
エピソード
社員が常々、不満を持っている事業や自分が「やってみたい」とか「変えなければいけない」と思っている事柄について・・・江副は問いかけ・・・がまん強く社員の意見を促す。
江副氏:君はどうしたいの?
江副氏:それで?
江副氏:でも、こういうこともあるよね
そのうち社員は、江副氏が思っていた正解や、それよりも素晴らしいアイデアにたどり着く。そこで江副は満面の笑みを浮かべ、こう叫ぶのだ。
江副氏:先生!おっしゃる通り。さすが経営者ですねー!
ギョッとするが・・・悪い気はしていない・・・社員に江副はすかさず畳み掛ける
江副氏:じゃあ、それ君がやってよ
社員 :えっ、私がですか?
江副氏:そう君が。だって君のいう通りなんだから
こうして江副は不平不満ばかりの「評論家」だった社員を「当事者」に変えてしまうのだ。
起業の天才!江副浩正 第4章より
コーチングとの共通点
このエピソード=江副浩正氏のリーダーシップにコーチングとの共通点を観る。
- 【質問】する :君はどうしたいの?
- 【傾聴】する :がまん強く社員の意見を促す
- 【承認】する :先生!おっしゃる通りと認める
- さらに【承認】:じゃあ。それ君がやってよと任せることでさらに認める。
結果、部下は【圧倒的当事者意識】をエンジンに自ら、主体的に動き出す。
この『構造』
【質問】し【傾聴】し【承認】することでクライアントが主体的に動き出すことを支援する
はコーチングそのものの『構造』
クライアントたちの起業
ネットで「リクルート」*「起業家輩出企業」と検索すると沢山の起業家のリストが続々と出てくる。なるほど!君はどうしたいの?質問に答えることで人生を変えた人たちなのだろう。
起業しなくても、会社員であっても【圧倒的当事者意識】で仕事をする人のエネルギーはそうでない人とは桁違い。私自身もこれを体験し体感している。
リクルートという企業グループが次々に事業を拡大し成長させ続けている秘密はここにあるのかもしれない。
コーチングというリーダーシップ
江副浩正氏がコーチングを意識されていたのかどうかはわからないが、この
- 君はどうしたいの?
- 先生!おっしゃる通り!
- じゃあ、君がやってよ!
というモチベーションを喚起するコーチングによる部下へのアプローチはカリスマ以上に強力なリーダーシップなのかもしれない。
この事例はコーチングが個人や組織の成果を大きく向上させるための鍵であることを証明している。
まず隗より始めよ
『起業の天才江副浩正』を通してビジネスの中におけるコーチングというスタイルのリーダーシップのの価値について深い洞察を得ることができる。
『まず隗より始めよ』の言葉通り、まずは自分からコーチングの場で部下に君はどうしたい?と【質問】することから始める。
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